2007年11月9日金曜日

フランシス真悟さん


フランシス真悟さんは1969年にカリフォルニアで生まれました。お父様がアメリカ人、お母様が日本人です。現在横浜とニューヨークを拠点に活動されています。
先年、横浜のギャルリー・パリで個展があり、真吾さんのことを知りました。

個展は "Blue's Silence" と題され、全面がブルーで塗られた絵が何枚も展示してありました。
少しづつブルーの色合いは違っているのですが、何しろ画面が同じ色で塗ってあるだけなので、一見、何だこの絵はすぐ描けるんじゃないの?、と思ってしまいます。
でもその絵からは人の目をとらえて離さない魅力が放たれているのにすぐ気がつきます。
塗られているブルーがものすごくきれい、透明感があって輝いていて引き込まれそうなブルーなのです。

人は空でも海でも澄み切った青をみると、その色に引き込まれて目が離せなくなってしまいます。
そのような輝きがこの絵のブルーからも放たれています。
そしてよく見ると画面の下部1/10くらいのところに境界があり、その上下でわずかにブルーの色が変わっているのに気がつきます。

何、この境目は?と思うのですが、すぐ水平線や地平線のことに連想がおもむきます。
いろんな思いを抱えているとき、水平線や地平線を見たくなり、その思いを遠くのその届かない境界に置いておきたくなる、そんな気分になることはないでしょうか。

そんな真悟さんの展覧会が、グループ展ですが横浜市民ギャラリーあざみ野で開かれています(10日まで)。
先週日曜日にダンスコラボレーションがあり、会場で真悟さんの絵をイメージして相良ゆみさんがダンスパフォーマンスをなさいました。
ダンスは残念なことに見れなかったのですが、その後の真悟さんと相良さんのギャラリートークを聞くことが出来ました。

その中で相良さんがダンスをしてどんな印象だったがを聞かれ、宇宙を一周して帰ってきたよう、と答えられていたのがとても印象的でした。

真悟さんの絵を見ていると、自然に心がその中に入っていき、忘れていた記憶のかけらが出てきたり、どこかにしまってしまいたい思いをその中にそっと置いてきたり、自分という宇宙をしばらくさまよって、そしてまた地上の現実に帰ってこれる、そんな体験ができるのです。

ここの写真はギャラリートークの様子と展示されている作品の前の真悟さんです。
そうそう、ブルーの作品はすべて "Blue's Silence" という題で統一されていますが、それぞれに異なった副題がついています。
彼がしゃべっている後ろの作品は "still silence"、立っている横の作品は "memory of my heart's dream" というのですが、どの作品の副題もとてもチャーミングです。
聞けば絵を描く前は詩をかくことに没頭していたとのこと。
この副題からはそんな感性をストレートに感じることができます。

真悟さんのインタビュー番組では、自分の考えが率直に語られていて興味深いです。

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